ミツバチがかかる怖い病気のひとつに、腐蛆(フソ)病という幼虫が腐る病気があります。伝染性が強く、養蜂に使われるセイヨウミツバチがかかりやすい病気で、最悪の場合、そのハチ場のハチはすべて焼却処分ということになります。その腐蛆病を防ぐため、ハチに抗生物質を与えることが、日本では広くおこなわれています。

では、与えた抗生物質の残留については、どうなのでしょうか。アメリカ腐蛆病・ヨーロッパ腐蛆病に対する予防薬テラマイシンの場合は、投与後だいたい6週間でほぼ分解するという結果が、玉川大学ミツバチ科学研究所の機関誌「ミツバチ科学」に掲載されました。

腐蛆病はミツバチヘギイタダニが媒介します。このダニのいなかったニュージーランドでは、ハチに抗生物質の投与を禁止する法律がありましたが、近年ダニが発見され、今後の対応が注目されています。

いま、日本国内のかなりの群が、腐蛆病の病原菌を持っているといわれています。しかし日本の在来種であるニホンミツバチは、ダニが寄生しにくく、腐蛆病の発生がほとんどありません。これは、蜜を運ぶ量の多いセイヨウミツバチに切り替えたために、拡がった病気だともいえるでしょう。また、いろいろな薬をやるようになってからダニが増えて
きたという感触を得ている養蜂家もいます。生産優先、金儲け優先の影で、薬と病害虫の追いかけっこが繰り返され、ミツバチの健康が、そして人間の健康までもがないがしろにされているのではないでしょうか。

「病気が怖いのだから、ハチに抗生物質を与えるのは当然だ」という前に、「なぜ病気になるのか」から考えてみなくてはいけない、そんな時期が来ているような気がします。



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